フィラー擦り込み
ヘアクラック刷り込み
ヘアクラック刷り込み
星の王子様ミュージアムにて
今年初めに携わらせていた頂いております当社と同じ豊島区内のお住まいです。
塗装仕様は「塗る断熱材」のガイナで仕上げさせて頂く予定です。
上の画像2枚は高圧洗浄後に行っている下地処理で、ヘアークラック部のフィラー擦り込みの様子です。
ヘアークラックとは文字通り、髪の毛ほどの細いひび割れのことを言います。
この部分は粘度の高いフィラーをローラーで塗ってしまっても、しばらくは、隠れてしまうのですが、ローラーではひび割れの中にフィラーが入り込まず、経年によって再び生じてしまうので、見た目だけきれいに見せるその場しのぎの塗装となっていまいます。
そこで、5年先、10年先を考慮し、腰のある固めの毛の刷毛の先端にフィラーを付けクラックの目に沿ってフィラーをクラックの中に擦り込んでいく工程です。
ごく細いひび割れなので、調査の段階では、特に上の方ほど、見落としてしまいがちで、足場をかけ、高圧洗浄することで現れ、現場に入って想像以上に多くあることに気付くことも多々あります。
目先の利益や引き渡し直後の仕上げだけを考えたり、言われたことだけをやればよいと思っていると、相応の時間と費用をかけてこのような工程を行う意味を見出すことは難しいかもしれません。
しかしながら、職人としての誇りと、自分自身を信頼して下さったお施主様の真心に思いを馳せると、けして怠ることのできない大切な工程です。
このクラックの擦り込みの下地工程は、目的のひび割れにフィラーを擦り込むことの他に、仕上がった際に補修跡が目立たないよう、擦り込んだ周辺の壁をぼかすことが大切です。
自分自身が行った大切な工程を、あえてわからないようにするのです。
このような下地処理は仕上がってしまうと目には見えなくなってしまいますが、3年5年10年という歳月を経ることによって、「きっと、丁寧にやってくれたんだろうなぁ」とはじめてわかる職人の心の現れです。
誰もが読んだことがある「星の王子様」で、作家であるサン=デグジュベリは、王子様に対しきつねにこう語らせます。
「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」
心は目に見えず、その心に伴った行為も仕上がった時には見えなくなってしまいます。
しかし、けして消えてなくなるのではなく、時の経過の中で、再びがその心が現れてくるのです。
その心は、心の目で初めて見ることができるのでしょう。
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