木部あく洗い
1あく洗い(汚れ落とし)
はじめに最も頑固な汚れを取り除く作業です。
過酸化水素水を主成分とした薬品を、硬めの刷毛で擦りながら塗布し、しばらく放置します。
汚れが浮き出てきたところを確認し、水だけをつけた刷毛で洗い流します。
この工程が最も重要で、この時点で汚れを残してしまうと後々まで残ってしまうため、必要に応じ研磨剤等を使用しながら1と2の工程を(2~3回)繰り返し行います。
また、この工程の最後に気をつけなければならないのは、木に薬品が残らないようにしっかり水で洗い流す事です。
アクロンA + アクロンB (カタログPDF)
- 成分
- アクロンA: 過酸化水素水35%
アクロンB: PH調整用アルカリ助剤 - 用途
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- ・ 古家増改築後のあく汚れ落とし
- ・ 木部塗装塗り替え時の下地処理
- 特徴
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- ・ ハケで塗るだけで、灰汁(アク)や汚れを分解し落します。
- ・ こすらないので木質を傷めずに汚れを除去できます。
- ・ 天井・欄間(ランマ)等 手作業が困難な所の洗いが簡単にできます。
2シミ抜き
あくを取り除いた後、「あく洗い」の段階では落ちない長い期間によってできた紫外線の「シミ」と「シミの素」を取り除くため、シミ抜き専用の薬品(フッ化水素が主成分)を、やはり同じように刷毛で塗布していきます。
この工程は「あく洗い」の作業と異なり、洗い流すと行った作業ではなく、「シミ」と「シミの素」を薬品によって化学反応を起こさせて消す作業のため、「あく洗い」の時より柔らかい刷毛を使用し、薬品を染み込ませるように塗っていきます。
ノーベルA + ノーベルB (カタログPDF)
- 成分
- ノーベルA: 過酸化水素水5.5%
ノーベルB: 亜塩素酸ナトリウム23% - 用途
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- ・ あく洗い後の日焼け、カビ落とし
- ・ 白木の漂白
- 特徴
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- ・ 水で薄める度合いによって漂白効果が変化
- ・ あく洗い後の仕上げをきれいにする
3漂白
「あく洗い」「シミ抜き」の工程後、この段階で、汚れは除去された事になりますが、紫外線による「日焼け」が残っているため薬品を替えて漂白を行います。
またこの薬品は「シミ抜き」で使用した薬品を中和するはたらきがあるため、日焼けがない場合でも行う事が大切です。
※職人(星野)さんがマスクをしているのは、ここで使用する薬品と「シミ抜き」の薬品が中和する際にガスが発生するためです。
レブライト (カタログPDF)
- 成分
- フッ化水素化合物9.5%
有機酸3% - 用途
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- ・ 木部についた鉄さび、モルタル、プラスターのあく落とし
- ・ 杉材の地黒部の赤み復元
- ・ 古いタイルについた鉄錆び、水あかの汚れ落とし
- 特徴
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- ・ 大気中で自然中和するよう作られているので、直射日光のあたらない場所は水拭きは不要ですが、直射日光のあたる場所は水拭きが必要
- ・ 米松にレブライトを塗ると、木材中のリグニンが強調され赤みが増す。
4修正洗い&薬品拭き取り
最後に木に付いているあまった薬品を濡れた雑巾でしっかり拭取り、研磨剤を使用しながら余分な黒ずみを取り除き「木部あく洗い」の完成となります。
5木材保護塗料仕上
「あく洗い」完成後、特に外部木部に関しては、このままの状態ですと、木肌がそのまま外気に接している状態になってしまうので、最後に木の美しさをできる限り長く保つように木材保護塗料を塗装(2回塗り)して完成となります。
尚、こちらで使用している木材保護塗料はキシラデコールやすらぎ(日本エンバイロケミカルズ) です。
製品特徴は下記の通りです(メーカーカタログより抜粋)
- 無塗装のような透明感のある仕上り
木の色や質感、木目の美しさを損ねることなく、そのまま生かした透明感のある仕上りを実現しました。 - 色持ちのよさを誇る耐候性
紫外線カット顔料(超微粒子顔料)と撥水性成分が効果的に作用し、日光や雨から木材を保護します。 - 木材の内部から防腐・防カビ・防虫効果を発揮
木材に浸透し、内部から腐れやカビ、木の害虫による被害を防ぎます。 - 木目を生かした自然な仕上り
木材に浸透し、表面に余分な塗膜を作りません。木の通気性を保つため木の呼吸を妨げず、塗膜のフクレ、ワレなどの現象がおこりません。
尚、木材保護塗料を扱うメーカーは多く、石油化学系と天然油脂系に分類することが出来、下記の種類があります。
- ・ キシラデコール:日本エンバイロケミカルズ
- ・ シッケンズ:トーヨーマテリア
- ・ ガードラック:和信化学工業
- ・ ノンロット:三井化学産資
- ・ VATON:大谷塗料