ドライウォール
ドライウォールとは?
ドライウォールとは1930年代アメリカで生まれた工法で、湿式(左官仕上げ)に対する仕上げ方法を言います。
内部に規格化された石膏ボードを貼りジョイント部分をテーピングで補強し、パテでフラットな面に仕上げる乾式工法です。
石膏ボードで作られる壁ということから、クロス仕上げでも塗装仕上げでもドライウォールとなりますが、この工法の発祥元であるアメリカでの仕上げ方法が塗装仕上げということから、石膏ボードと塗装された壁を総称してドライウォールと呼んでいます。
ドライウォール工法
規格化された石膏ボードで覆われた下地構造の段階では、ボードを留めるビスの頭やボードの継ぎ目などが出ている凹凸の状態となっています。
ドライウォールの塗装仕上げは、単に美しい壁面を仕上げることに留まらず、肝心な下地処理の段階でクラックがおきないようにする工夫や、ものをぶつけやすいコーナー部分には割れにくくするなどの工夫がなされています。
1ジョイント部分の下地処理
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1. 目地パテ処理
ボードとボードのつなぎ部分を「ジョイントセメント」で埋めていきます。
この最初のパテの工程でパテが痩せてしまうと次の工程のジョイントテープとの間に空気層ができ「割れ」の原因となるためここでは目地のパテ処理を2回行っています。 -
2. プライマー
はじめの工程のパテ処理と次の工程のジョイントテープとの密着強化のためプライマーを塗ります。
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3. クラック防止テープ/ジョイントテープ
接合部のクラックの防止のため補強テープを貼っていきます。1工程で終わるテーピングもありますが、ここでは2工程のテーピングを行っています。
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4. パテ処理
ジョイントテープとボード面との段差を埋めるためさらにパテ処理を行います。尚、最初の目地処理とここでのパテ処理は段差を埋めるためのパテで次の工程で行いパテ処理と比べ「痩せ」は少ないのですが目が粗いのが特徴です。
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5. 仕上げパテ処理
最終的に仕上げ用のパテつけを行います。このパテは前の工程のパテと異なり目が細かく、この上から塗装することで、ボードの上からの塗装面とパテの上からの塗装面との差ができなくなり均一でフラットな壁面へと仕上げリます。
2コーナー部分の下地処理
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1. コーナービート設置
物のぶつけやすいコーナー部分をコーナービートを接着剤で取り付けます。(テープのついたタイプもあります。)
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2. ジョイントテープ
コーナーの両端部分をジョイントテープでさらに補強します。
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3. パテ処理1回目
コーナービートとジョイントテープの厚みが出るため目地処理のパテと同様の「痩せ」少ないパテで2回扱きます。
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4. パテ処理2回目
パテ処理2回目です。
パテ処理の1回目と2回目は同じ材料を使用するため、1回目と2回目の工程を色分けすることで工程に抜けがないようにします。 -
5. 仕上げパテ処理
最後に塗装で仕上げた際にボード面とパテ面の差がで着ないように、目の細かい仕上げパテでしごきサンドペーパーをかけて下地処理の完成となります。
3仕上げ
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1. シーリング
ボート面と巾木、廻り縁、枠廻り等の隙間をシーリング処理を行います。
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2. 下塗り(シーラー塗布)
全ての塗装工程と同様、下地の隠ぺい力と上塗りの密着力を高めるためシーラーで下塗りを行います。
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3. 中塗り、上塗り
上塗り材を2回塗って完成となります。
塗料について
内部の壁や天井使用される塗料は外壁や屋根等で求められる耐候性や耐汚染性等の求められる機能が異なることから外部で使用される塗料とは異なり、低臭でホルムアルデヒト等のVOCが少ない(または、含まれていない)「水性アクリルエマルジョン塗料」を使用します。
また、シックハウス症候群や化学物質過敏症の室内環境の意識の高まりの中、建築基準法も改正され、居室用に使用される塗料については、右図のように4段階に分類され「F☆☆☆☆」以外に関しては使用面積の制限が義務付けされています。
規制対象に加わった新たな化学物質はクロリピリホスとホルムアルデヒトで、クロリピリホスを発散する建材は使用禁止となりホルムアルデヒトに関しては放散料の測定により下記のように等級分類されています。
放散量 | 使用制限 | 等級区分表示 |
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0.12mg/L以下 | 無制限に使用可 | F☆☆☆☆ |
0.12~0.35 | 床面積の2倍まで使用可 | F☆☆☆ |
0.35~1.8 | 床面積の0.3倍まで使用可 | F☆☆ |
1.8超 | 使用不可 |