201801/15
友情
昨日、安倍首相と昭恵夫人がリトアニアに訪問され、杉原千畝記念館を視察した様子のニュースがテレビや新聞で報道されておりました。
首相は記者団に「大変暖かい歓迎を受けることができたが、杉原千畝さんの勇気に対する地域の皆さんの気持ちのあらわれだ。地元の皆さんが、領事館にひるがえっていた日の丸を含め、杉原さんの記憶を大切に保存していただいていることに日本を代表してお礼を申し上げる」と述べました。
異なる国家との交流は、政治や経済による往来も重要であることに違いありませんが、リトアニアと日本は、国家の命令よりも、生命の尊厳を大切にした杉原千畝の勇気の選択の共感を通し、国境を越え、友情を育み、平和を広げることができるに違いありません。
総じて、政治には矛盾があり、経済の世界には格差がありますが、友情は平等であり、普遍であり、永遠です。
どうしても政治は力の論理、経済は利害の論理になりがちな中、友情を基調とした平等な立場での教育や文化の往来が、人間相互の魂と魂を、心と心を結び付けていくからです。
さて、昨年秋、塗魂ペインターズの一人として、杉原千畝の心に思いを馳せ、この記念館の再生に携わらせて頂きましたが、足場が外れないうちに日本へ戻って来てしまいましたので、安倍首相を追うカメラにほんの少しの間だけ映っていたきれいな杉原記念館を見て、安堵と共に感慨深いを思いです。
きっと、塗魂家族の皆様も同じような思いだったのではないでしょうか…
恩師の思いをわが胸に焼き付け、
友と共にこの記念館の再生に携わり、
平和の大切さを発信できたこと、
友と共に心を分かち合えたこと、
そして、また一つ新しい友情を育めたことは、年月が経とうとも、けして色褪せることはないでしょう。
人間として究極の証が友情であり、友情ほど人生の勝利と栄光の縮図になるものはなく、友情と信義に生き抜く人は、何倍も価値ある人生を勝ち取っていくことができるからです。
ゆえに、誰に見られていなくても、また、けして光は当たらなくても、
純粋なる思いで、陰で黙々と、かつて命のビザを発行した旧領事館の蘇生のために働き、差別なき平和への思いを世界に発信しようとご尽力下さった、心美しき皆様の証は、心の中の思い出だけに留まることはありません。
目には見えなくても、深い絆として、変わることにない友情として、共に活動した友と友の間で厳然と輝き渡り、それぞれの人生物語を荘厳するに違いありません。
アメリカの民衆詩人ホイットマン曰く、「英雄の名声も、将軍の勝利も、大統領の権勢も、自分はうらやましいとは思わない。しかし固い友愛で結ばれた人々が、苦難にも中傷にも怯まず、一生を通じて、いかに勇敢に、思いやり深く、そして、いかに誠実に共に生き抜いたか。その人間の絆を、何よりもうらやましく思う」
自分自身の人格と幸福の拡大は、立場等で決定されるものでされはなく、どんな立場で活躍しようとも、一人一人の友情が育まれてこそ、真の人格の拡大があり、真の幸福があるからです。
因果応報…
一人一人にとって、この度の活動がいかなる意味を成すかは、時がすべてを明らかにしてくれでしょう。
真に育まれた友情こそが、朽ちることのない人生の宝であり、自身の勝利の証だからです。
※昨年秋建物再生によって差別なき世界の平和への思いを蘇生させようとしたスギハラプロジェクトです。