202209/15
防水よりも雨仕舞
水が入った場合のリスク検討
目視調査において、屋根の下のコンクリート外壁部分が、他の部分と比較し明らかにコンクリートの肌が粗く、内部に湿気が入りこむことによる腐食と判断されます。
そこで、足場に上り確認しますと屋根と外壁の取り合いにシーリングがうたれていることに気づきます。
このコンクリートはコンクリートに防水材を浸透させ、素材自体に防水機能を持たせています。
また、その上に鋼板屋根が葺かれていますので、理屈の上では、2重防水となり、強固な防水機能を有している判断されます。
但し、施工自体現場で職人が行うことや、経年劣化だけでなく、地震などの際のひび割れや金物の納まり不具合、そして暴風雨やゲリラ豪雨など、想定外の自然環境で、万が一、屋根の下に水がまわりこんでしまった場合、密閉性が良すぎるために、入った水が抜けなくなってしまいます。
今回、その万が一の現象が起こり、それゆえコンクリートが腐食し爆裂を起こしてしまったと予想されます。
この数年だけでなく、できる限り長く建物を維持することを第一義とするならば、現場における人為的な施工やあらゆる自然環境におけるリスクを想定し、水が入らないようにする防水ではなく、水が入ってしまった場合に抜けるように雨仕舞の施工をすることが賢明と判断されます。
今回、屋根と外壁の取り合いのシーリングを撤去したところ、屋根を留めているビスが錆びていることから、このシーリング材で、コンクリート躯体と屋根が密閉されることでコンクリートが腐食を起こしたことは明らかで、暴風や台風時に屋根と外壁の取り合いから水が入ることよりも、まわりこんだ雨水が抜けないリスクの方が高いので、取り合いのシーリングを全て撤去しすることといたしました。